フランス人杖道家・リュック・ブレル氏が、氏の所属する「BUDOXI」(パリ一区武道会―杖道、剣道、居合道などを行う会)のホームページに、「フランス水屋神社建立計画」について執筆・紹介して下さいました。仏文和訳は フランス在住神職、パリ大学六年生・武部磨美さんです。
〔 http://www.budo11.net/pages/article_jo.html
より転載 〕
特報! ヨーロッパ初の神社がフランスに!
二〇〇六年年三月二五日午前一〇時地鎮祭
久保憲一氏は、祖父、父より受け継いだ三代目※宮司。氏は、ヨーロッパ初の神道の社がフランスに建立されることに、大変満足なさっています。五五歳の氏は、二人の子どもの父親であり、また、三重県に所在する鈴鹿国際大学の比較政治学(日米英)の教授でもあります。
三月二五日の、神社建立に先立ち土地を清める儀式には、「BUDOXI」で杖道を学ぶ、我らが友武部磨美も参列します。彼女もまた神職です。
フランスに建てられる神社は、宮大工石井久二氏の手により建築されました。この地鎮祭には、石井氏も参列します。氏は、久保宮司から、フランスに建立するための神社建築を依頼された際、「キリスト教の本場に、日本の神社を!?」と大変驚かれたとのことです。が、伝統技術を駆使してお造りになった神社をフランス人に紹介できることに、とても誇りを感じておられます。石井氏は、一七歳のときに大工職人の職に就かれ、神社・仏閣の建築に携わる他、一九七三年には、かの有名な京都の仏閣、知恩院の鴬張り※※の技術を解明し表彰された方です。
注)※ 水屋神社。三重県に鎮座する大変由緒ある神社。奈良の春日大社と伝統的にも歴史的にも縁が深く、後者と同じくアメノコヤネノミコトを祀っている。また、春日大社に浄水を捧げる役割を果たす神社でもある。
※※ 鴬張り。知恩院、また同じく有名な京都の二条城には、「鴬張り」と呼ばれる廊下があります。一見普通の廊下ですが、歩くと鴬がさえずるような音がします。侵入者が忍び込むのを防ぐため「忍び返し」とも呼ばれます。
仏教寺院の傍に神道の神社が建てられることは、一見奇妙なことに思われるかもしれませんが、日本では、神道と仏教が調和して共存しており、何ら不思議なことではありません。
此の度の地鎮祭は、「慎ましい」儀式ですが、神社建物を建立するに先立つ、土地を清めるための大変重要な儀式です。久保宮司、石井氏は、あなた方の参拝を大変楽しみにおられます。「神社建物はこのときには未だ到着しておらず、儀式は慎ましいものとなります。そのため、もし参拝者が少なくても仕方ないのですが・・・」と久保宮司。しかし、日本の武道を実践する我々や、日本の伝統文化に深い関心をもつフランス人にとっては、大変興味深い儀式となる筈です。また、この地鎮祭は、久保宮司や石井氏を始め伝統文化に携わっておられる日本の方々と交流できる大変希有な機会でもあります。皆さん、お誘い合わせの上、是非御参拝下さい。この地鎮祭を経て、この秋には水屋神社分社が建立され、分祠祭が行われることになります(次回の情報をお待ち下さい)。
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