フランスに水屋神社の分社
宮 司
かねてより私は日本の心を世界に発信する村の鎮守様を夢見、目指して来ました。それもあながち夢でなさそうです。 昨年師走に親しい知人の紹介でフランスのお坊さん夫妻が神社に来られました。パリから二百キロほど南下した、ワインで有名なブルゴーニュ地方に自分の寺を持っておられる融快、融仙という真言密教のお坊さん夫妻で、奥さんは日本人ですが、ご主人はフランス人の医師でもあります。毎年一〜二ヶ月、生駒山の寶山寺に修行に来られているとのことで、修行の合間を縫っての参拝でした。寺社めぐりが好きで、これまでも多くの神社を巡っておられるのです。 ところが、このご夫妻は水屋神社の杜がとくに気に入られた様でした。大楠の前からなんなか離れようとされません。神道のこともいろいろ私に尋ねられました。そうしてまた修行継続のため、生駒山に戻られたのです。 しかしまた、今年の正月明けにも神社に訪ねて来られ、フランスの自分のお寺の境内(二町にもなる広大な元牧場)に自分の手で神社を建てるから、なんとか分祀できないものだろうかと尋ねられるのです。私は早速、普段ご交誼願っている鈴鹿の宮大工石井久二さんに来ていただいて、ご意見を聞き、あれこれ神社づくりについて相談しました。 結局のところ、神社づくりは素人の到底手に負える物ではない。我々もお手伝いしようということになったのです。 そこで、まず年内に「お祠」造りからはじめようと思います。まずお祠と祭式道具だけは今年中にフランスに送り、地鎮祭をする予定です。建立経過は水屋神社ホームページや社報で皆様にお知らせ致します。 建立資金については進行状況を全国の皆様に説明し、多くの方々の理解と寄付金を募りつつ、着実に順次境内をに整えてゆきたいと考えています。ヨーロッパのど真ん中に初めて日本の神社が日仏国民の協力の下で生まれる。それもわが水屋神社の分社がー。なんとすばらしい出来事ではありませんか。どうか温かい目で見守り、ご支援ください。
フランス水屋神社建立趣意書 「神道」は日本民族の間に自然に生まれ育った伝統的神祇信仰である。もともとこうした固有名詞は存在しなかったが、欽明天皇の御時に伝来した仏法と比べ区別されたようである。『日本書紀』の第三十一代用明天皇の条に「天皇は仏法を信じ、神道を尊びたもう」とあり、これがわが国の文献に現れた「神道」という用語の初出であるように思われる。 そもそも日本は古代から「豊葦原瑞穂の国」と称されてきた。気候が温和で、四季の変化に富み、 豊かな自然の中に生活した我々の祖先は、そのやさしい恵みと、時に厳しい試練を与える大自然に、 人間を超越した霊力を感じ、森羅万象を司り、国土を創造し、国や人を加護する神の存在を知り、これらの神々に感謝と畏敬の念を捧げてきた。 要するに神道の根本精神たる「敬神崇祖」こそが人種・民族・宗門宗派を越えた、まさに「人類普遍の平和原則」であると確信する。 昔からとくに「縁結び、子授け、安産、水の商売」に霊験あらたか、近頃では「地球平和」と「水への感謝」祈願が多い日本の水屋神社が、フランス・ブルゴーニュ地方はもとより、ヨーロッパ大陸、ひいては地球の平和を願って日仏両国民の協力の下に、フランス真言密教寺院・光明院境内に分社を建立する所以である。 平成十七年正月
水屋神社宮司 久保憲一 フランス水屋神社建立実行委員会会長 吉住 完
フランス水屋神社建立実行委員会 役員
平成十七年二月十一日現在(同一役職内は五十音順に表記)
会長
吉住 完
医学博士・元三重県小児保健学会会長
副会長
丹羽 友三郎
文学博士・元三重短期大学学長・水屋神社崇敬会会長
特別理事
久保 憲一
水屋神社宮司・鈴鹿国際大学教授
常任理事
石井 久二
宮大工(三重県神社庁御用)
須藤 忠
農学博士・(有)コスモインテル環境開発研究所所長
中村 重行
日本野あそび協会代表・神職
南 英雄
運輸会社社長・道の駅「伊勢志摩」理事長
三宅 孝生
飲食店経営・水屋神社崇敬会理事
村瀬 登
水屋神社責任役員・製茶業
渡辺 一郎
石材店経営
理事
青空 好児
漫才家(本名 谷田部政視)
窪田 英樹
The Japanese Spirit発行・編集人
高橋 誠嗣
水屋神社責任役員
龍村 仁
映画監督(地球交響曲)
美内 すずえ
漫画家(ガラスの城・アマテラス)
ミネハハ
歌手(本名 松木美音)
本澤 雅史
皇學館大学助教授(神道学)
監事
宮林 茂樹
国立鳥羽商船高等専門学校助教授
御礼申し上げます
○ 白丁の佐々木一さんが神社正面にやはり今年も門松一対を奉納してくださいました。親子二代にわたるご奉仕、頭が下がります。 ○ 神社紹介の英文が水屋神社のホームページに掲載されました。 これはThe Japanese Spirit発行・編集人であり、水屋の杜講演会やお水祭などでお話や、奥様の八雲琴を度々奉納演奏してくださった熱烈な崇敬者・皆様お馴染みの西宮市の窪田英樹氏によるものです。 先日はポーランドに、水屋神社の紹介のみならず赤桶産のお茶や神事用黒米などもご紹介くださいました。これからもフランス語等でもご紹介くださるそうです。とても頼りになる分社建立奉賛会理事さんです。
第十二回 水屋の杜塾講演会
前号(一六五号)神報でご紹介したウクライナ共和国の大学院留学中の志村伊織さんが一時帰国されます。 この国がロシアから真の独立を果たせるかどうかを問う今回の大統領選挙では氏は再決戦投票監視員をされました。十二月二十六日付産経新聞大阪版にも大きく紹介されています。今回はウクライナの現状や大統領選挙を中心にお話を伺うつもりです。
講師 志村伊織 国立キエフ・モヒラアカデミー修士課程在学 一、日時 平成一七年三月五日(土) 午後三時より 一、場所 水屋神社社務所 一、参加費 無料